健康診断の結果には「基準値」というものが記載されています。
これは自分の値と基準値を比較し、正常なのか異常なのかを
見るために、目安として使う数値です。
ただし、基準値というものは、言ってしまえば複数の他人の
結果から割り出した「平均値」のようなもの。
基準値との比較も大切ですが、「基準値内なら問題無し」と
安易に考えず、基準値の考え方・捉え方を把握し、
自分の健康状態を確認することが重要です。
基準値はどのように決まる!?
「基準値」は、検査項目によっても異なりますが、
主に以下の2つの方法で決められています。
(1)健常人のデータの、検査値の分布から求める
健常だとされる多数の成人に、同様の検査を行い、平均値を出します。
その値から、対象者の95%を含む範囲(平均±2SD)を
基準範囲として、平均の値を割り出しています。
主に、肝機能検査や貧血検査などが、この方法で求められている場合が多いです。
ただ、検査を行う「多数の成人」は、40〜60歳代が大半を占めるため、
高齢者の場合は基準値が一概に基準とは言えないケースもあります。
そのため、高齢者が健康診断を受けた場合、基準範囲を
ややはずれていても、「異常」と判断されないケースもあります。
(2)疾病の発症率など、疫学調査研究をもとに定める
(1)の方法で求められた基準値は、あくまでも「平均値」。
平均値内でも、病気を起こす可能性が高いとされるものは、
さらに根拠を持って絞られた「基準値」が定められます。
特に、生活習慣病の基準値に関しては、たくさんの研究結果を
もとに、各学会が値を定めています。
◆ 大切なのは基準値でなく、「自分の数値の変化」
正しい判断ができるようにと、研究や検査を重ねて
定められた基準値ですが、これはあくまで目安と
考えるようにしましょう。
一番大切なことは、基準値と比較するだけでなく、
過去の自分の数値とも比べて、経年的に観察し続けていくことです。
例えば基準値が「3〜5」の項目があったと想定しましょう。
一昨年は「3」、去年は「4」、今年は「5」という数値が
出ていたと仮定します。
もし、毎年基準値との比較だけをしているとしたら、
「今年も無事基準値内だったから大丈夫!」という
安易な結論に至ってしまいます。
しかし、ここで見逃してはいけないのは、
毎年徐々に数値が上昇していることなのです。
基準値との比較に加えて、大切とされているのは
「過去の自分との比較」です。
例に挙げた人が、過去の結果と比較をしていれば、
この数値を見て「年々上昇してきているから、
気をつけなければ」という結論に至るでしょう。
自分の健康診断結果を保管し、一年ごとに独自のグラフなど
に起こしたりして比べていくことがとても有効です。
自分の健康状態が把握できるだけでなく、ちょっとした
異常に早めに気づくことができるかもしれません。