「1日1個のリンゴが医者を遠ざける」
ということわざがあるようにリンゴは、
病気の予防になる健康食材の一つと知られています。
漢方でもリンゴは「補心益気、健胃和脾」
元気をつけて胃腸の働きをよくする作用があると・・・
近年の栄養学でも活性酸素を除去するポリフェノールが
含まれていて、ガンや各種炎症、アレルギーなどの
予防・改善にもなるとされています。
ただし、このポリフェノールは皮の部分に多いので、
できれば皮を剥がさずに丸ごといただきたいですねぇ。
食養生では、「一物全体」なのでいただく時は
皮ごと丸ごとです。
下痢や風邪の初期などの症状に、皮ごとすりおろした
リンゴを葛と練って食べるのがよいとされています。
2013年に公開された映画「奇跡のリンゴ」を
ご存知でしょうか?
無農薬リンゴを育てることに成功した。
という青森県の農家・木村 秋則さんを題材として
取り上げた、実話を基にした作品です。
何度も挫折を味わいながらも
「今、自分が諦めたら、この先もずっとリンゴを
無農薬で育てることがなくなってしまう」
との信念を貫き通す、感動の物語です。
この話からも分かるようにリンゴは無農薬で育てることが
非常に困難な果物で、木村さんの手法についても、
厳密な意味で無農薬栽培と呼べるのかは異論があるようです。
それでも、皮ごといただく以上、できるだけ農薬の
使われていないものが望ましいことは言うまでもありません。
加工品のリンゴジュースを選ぶ時も同様で、
少なくても国産ストレート果汁のものを選ぶといいでしょう。
リンゴといえば、高血圧との関係について面白い話があります。
発端は、1954年に行われたアメリカのダール博士による
疫学調査です。
博士は、「日本の東北地方での脳卒中発症率が高い原因は、
たくあんや塩鮭をたくさん食べる食習慣によるもの」と
発表しました。
「高血圧の原因=塩の摂りすぎ」といわれるように、
その契機となった調査であるといえます。
実はこの調査、後に「調査条件が明確でないので科学的に
正しくないものとはいえない」と結論付けられているのですが、
不思議なことにこれが「真実」として定着してしまっているのが
現状です。
ダール博士の手法には幾つかの疑問点が指摘されていますが、
そのうちの一つが、調査内容は秋田県のデータが中心で、
高血圧の少ない青森県が除外されていたというものです。
青森県といえばリンゴの産地。
リンゴに多く含まれているカリウムの影響で高血圧に
ならずに済んだという側面が考えられます。
「奇跡のリンゴ」に描かれた木村さんの諦めない姿勢と、
リンゴの生命力と取り入れていきたいものです。