梅肉エキスとドーピング

2018年9月1日

梅肉エキスとは、青梅を濃縮したエキスのことです。

 

梅干に向くほど黄色く熟する前に収穫した青梅の果肉を

磨り潰し、絞った果汁を元の青梅1キロから20グラム

ほどになるまで煮詰めたものです。

 

非常に酸味が強く、クエン酸・リンゴ酸・コハク酸などの

有機酸が豊富です。

 

疲労回復や血流改善、下痢・便秘、免疫細胞の活性化、

静菌作用、食中毒予防・インフルエンザの予防、

抗酸化作用など、効能をあげればキリがありません。

 

夏バテに対しても、クエン酸の作用が体内で生じる

疲労物質の乳酸を分解し、基礎代謝を活性化することから、

疲労から早期回復が見込めます。

 

梅肉エキスが知られるようになったのは、平成11年に

特有の成分ムメフラールが発見されてからです。

 

ムメフラールは梅肉エキスの製造過程で生成されるもので、

生梅や梅干には含まれません。

 

テレビの健康番組で「血液サラサラ」が話題となったことも

あって、一躍有名になりました。

 

ところで最近、某メーカーの梅肉エキスから、世界アンチ・

ドーピング機構(WADA)が定める禁止物質「ボリジオン」

(たんぱく同化ステロイド)が検出されるということがありました。

 

これは自然界にも普通に存在するもので、含有量も極微量です。

 

実際にドーピングで効果を上げるほど摂取するには1日当たり

2トン以上の梅肉エキスを飲まないといけない計算で、

現実的ではありません。

 

しかし、ドーピング検査の焦点は効果の有無でなく、

あくまでも「陽性反応の有無」です。

 

当核メーカーも「梅肉エキス中のボルジオンからの

副作用、、健康被害は存在しないと考えています」としつつ、

「アスリート(競技者)の方は、ご使用を中止してください」との

コメントを発表しました。

 

ドーピング検査の検体である尿から検出されれば引っかかって

しまう可能性があるので、注意が必要だということです。

 

平成16年に国際オリンピック委員会(IOC)が実施した

調査では、欧米で販売されているサプリメンとのうち

14,8%にたんぱく同化ホルモンが含まれていることが

判明しています。

 

世界アンチ・ドーピング機構や国際陸上競技連盟(JAAF)は、

サプリメントの安易な使用はしなようにと生命を出しています。

 

また、日本陸上競技連盟からは、「日ごろからバランスの

よい食事を摂取するように心がけ、良好な食習慣を身に着けて

くだし。そうすれば、必要な栄養素は食事から安全に摂取する

ことができるのです」との見解を出しています。

 

治療家としてアスリートの治療・サポートにも関わることが

ある者として、日ごろからこうした情報にも気を配っておきたい

ものです。

 

鍼灸柔整新聞 平成30年8月号 食養生の物語 より

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